少子高齢化と人口減少により、日本の中小企業にとって人材確保は喫緊の課題です。未来塾では、将来の経営を担う若手人材との交流の一環として、立命館アジア太平洋大学（APU）の外国人留学生と中小企業経営者による意見交換会を開催しました。

本会の主旨は、「単なる労働力として」ではなく、「幹部候補として」外国人材をどう迎え入れ、育てていくかを共に考えること。留学生たちの日本への想いやキャリアビジョン、そして企業側の採用に向けた疑問や課題を率直に交換し合う機会となりました。

多様性がもたらす組織の進化

参加した中小企業からは、外国人材との関わりによって社内に「新たな視点」がもたらされることへの期待の声が相次ぎました。例えば、県外出身者や外国人との接触を通じて価値観の違いに触れることが、社員の成長や会社の変革を後押しするという実感が語られました。また、インバウンド観光地である地域では、留学生がそのまま案内人や文化大使として活躍できる可能性も示されました。

留学生のリアルな声とキャリア観

参加した留学生からは、「日本の伝統とイノベーションが共存する環境に魅力を感じた」「協調を重んじる日本の文化で、人間としても成長したい」といった前向きな声が多数上がりました。単に就職するためではなく、「人としての成長」「母国との橋渡し」「将来の起業」など、それぞれの明確なビジョンを持っている点が印象的でした。

また、日本企業が重視する「EQ（感情知能）」にも関心を持っており、留学生たちが協調性やチームワークを重視する姿勢を持っていることも共有されました。

採用の現実と課題

外国人材の採用には、当然ながら課題もあります。言語の壁、文化の違い、就労ビザなど法的手続き、そして社内受け入れ体制の整備。実際に外国人技術者を採用した企業からは、「業務指示の伝達に苦労した」「生活面での支援が想定以上に重要だった」といった経験談が共有されました。

その一方で、外国人材が親に仕送りを続けながら地域で働く姿に心を動かされたという声や、海外進出の際に現地との橋渡し役として外国人社員が大きく貢献した事例も報告され、外国人材の持つ潜在的価値の大きさが改めて認識されました。

学生団体「ジュニア社会人」の取り組み

注目すべき取り組みとして、APUの学生団体「ジュニア社会人」が紹介されました。この団体は、実践的なコンサルティングやマーケティング支援を地域企業に提供し、企業と学生が「学び合う関係」を築くことを目指しています。

特に「トライアル雇用（実質型インターン）」の提案は、中小企業にとってリスクを抑えながら外国人材の可能性を体感できる好機として注目されています。さらに、APU卒業生が化粧品メーカーの海外戦略において重要な役割を果たしている成功事例も共有されました。

今後に向けて

参加者からは、「海外の方に日本の心を教えられた」という感想もあり、文化的な学び合いの意義も再確認されました。また、「外国人材は日本企業の未来を拓くパートナーである」という認識が共有され、採用・定着・育成に向けた取り組みの必要性が再確認されました。

未来塾では、今後も留学生や大学との連携を継続し、企業と若者が共に未来を創るプラットフォームを育ててまいります。本意見交換会はその第一歩となるものであり、多様な人材との対話を通じて、持続可能で開かれた地域経済の実現に貢献していきます。