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第5回:社員の「評価能力」が働きがいを決める | 中小企業未来塾

第5回:社員の「評価能力」が働きがいを決める

第5回:社員の「評価能力」が働きがいを決める

前回の振り返り:「居がい」から「評価能力」へ

これまで私たちは、二宮厚美先生が発見された「生きがいの三つの源泉」のうち、二つについて学んできました。

第一の源泉:豊かな目標・目的の追求(「行きがい」)

第二の源泉:共感・応答関係に包まれた存在感(「居がい」)

そして今回は、第三の源泉:モノ・コトに対する評価能力の向上について深く掘り下げていきます。

この「評価能力」は、一見難しそうな概念ですが、実は働きがいを左右する極めて重要な要素なのです。

評価能力とは何か?

二宮先生は、「甲斐」という言葉の辞書的説明の第一として、「人が何かに取り組む際にそこに価値とか値うちを発見する時の張合い」があることを指摘されました。

つまり、同じものを前にしても、その価値を感じ取る能力によって「甲斐」の程度が大きく変わるということです。

例えば、同じ映画を観ても

• 車に興味がある人は、劇中に出てくる車の種類がわかることで、より深く映画を楽しめます
• 音楽に詳しい人は、使われている楽曲の背景を知ることで、さらなる感動を味わえます

二宮先生は、この違いを「星空を見つめる例」で説明されています。

満点の星空を見上げた時

• 星座にまつわるギリシャ神話に明るく、天文学の知識を持った人
• そういった知識を一切持たずにただ漫然と夜空を眺める人

両者の間には「見がい」の大きな違いが生まれるのです。

働く現場での評価能力の重要性

この評価能力の違いは、働く現場でも同じように現れます。

【事例1:製造業での気づき】

ある部品メーカーで働くAさんは、毎日同じ部品を作っていました。最初は「ただの部品作り」としか思えませんでした。

しかし、社長がお客様の工場見学を企画し、自分たちが作った部品がどのように使われているかを実際に見る機会を得ました。

そこでAさんが目にしたのは、自分の作った部品が最新の医療機器に組み込まれ、多くの患者さんの命を救っている現場でした。

「私たちの部品が、こんなに大切な役割を果たしていたなんて…」

それまで「ただの部品作り」だった仕事が、Aさんにとって「人の命を支える尊い仕事」に変わった瞬間でした。

【事例2:サービス業での発見】

清掃会社で働くBさんは、毎日オフィスビルの清掃をしていました。「汚れを取るだけの仕事」と感じていた時期もありました。

ところが、会社が「清掃の社会的意義」について勉強会を開きました。そこで学んだのは

• 清潔な環境が働く人の健康と生産性を支えていること
• 感染症予防における清掃の重要な役割
• お客様企業のイメージアップに貢献していること
• 建物の資産価値を維持する専門技術であること

この学びを通じて、Bさんの仕事に対する見方は一変しました。「私たちは、多くの人の健康と働きやすさを支えているプロフェッショナルなんだ」

「猫に小判、豚に真珠」の教訓

二宮先生は、評価能力の重要性を説明するために、「猫に小判、豚に真珠」という諺を引用されています。

これは、評価能力を持たない者にいくら価値あるものを与えても、それは何の役にも立たないということを示しています。

職場でも同じことが起こります。どんなに素晴らしい商品やサービスを扱っていても、それに携わる社員がその価値を理解していなければ、働きがいは生まれません。

逆に、一見平凡に見える仕事でも、その価値と意義を深く理解している社員は、高い働きがいを感じることができるのです。

中小企業だからこそできる評価能力の向上

大企業では難しい、中小企業ならではの「評価能力向上」のアプローチをご紹介します。

1. 社長自らが語る「仕事の意味」

【実践例:建設会社】

C建設の社長は、月一回の全社会議で必ず「今月完成した建物がお客様にどう喜ばれたか」を報告します。

「今月完成したD保育園の園長先生から、こんなお手紙をいただきました。『子どもたちが毎日楽しそうに過ごしています。特に、職人さんが提案してくださった安全性の高い設計のおかげで、安心して預けられます』と。」

社員の皆さんは、自分たちの仕事が子どもたちの安全と笑顔を守っていることを実感し、誇りを持って働けるようになりました。

2. お客様の声を直接聞く機会の創出

【実践例:食品製造業】

E食品では、年に4回「お客様感謝祭」を開催しています。自社製品を愛用してくださるお客様を工場に招待し、製造現場を見学していただきます。

お客様から直接「いつもおいしい商品をありがとう」「この商品のおかげで家族が喜んでいます」という声を聞いた社員の皆さんは、製品への愛着と仕事への誇りを新たにします。

3. 業界全体での自社の役割を学ぶ研修

【実践例:物流会社】

F物流では、新入社員研修で必ず「日本の物流と経済」について学ぶ時間を設けています。

• 日本の経済活動における物流の重要性
• 自社が担当する地域での役割
• 災害時における物流の社会的使命
• 環境に配慮した物流の意義

こうした学習を通じて、社員は自分たちの仕事が「単なる荷物運び」ではなく、「社会の血液となる重要なインフラ」であることを理解します。

4. 技術や商品の背景を深く学ぶ勉強会

【実践例:印刷会社】

G印刷では、月一回「印刷技術勉強会」を開催しています。

• 印刷技術の歴史と文化への貢献
• 最新の印刷技術と環境配慮
• デザインと心理学の関係
• お客様の業界についての基礎知識

こうした学びを通じて、社員は印刷という仕事の奥深さと可能性を発見し、より高い品質を目指すようになりました。

学習こそが評価能力向上の最良の方法

二宮先生は、「評価能力を高めるのに最も効果的な方法が学習すること」と述べられています。

学習のポイント

1. 会社の社会的存在意義を学ぶ

• この会社は社会にどんな価値を提供しているのか?
• どのような人たちの役に立っているのか?
• なぜこの事業が社会に必要なのか?

2. 商品・サービスの価値を深く理解する

• お客様にとってどんなメリットがあるのか?
• 競合他社と比べての特徴や優位性は?
• この商品・サービスがない世界を想像してみる

3. 自分の仕事の専門性を高める

• 業界の動向や最新技術を学ぶ
• 関連する法律や制度について知る
• 歴史的な背景や文化的な意味を理解する

「ちらし寿司の美学」に学ぶ深い理解の力

二宮先生は、評価能力の例として「ちらし寿司の美学」について語られています。

ちらし寿司の具材には、実は深い意味が込められています

• シソの葉:青色で春を表現
• マグロ:朱色で夏を表現
• イカ:白色で秋を表現
• ノリ:黒色で冬を表現
• 卵焼き:黄色で宇宙・森羅万象を表現

これは中国渡来の五行説に基づいており、ちらし寿司は「春夏秋冬と宇宙を表現した料理」なのです。このことを知って食べるちらし寿司と、知らずに食べるちらし寿司では、「食べ甲斐」が全く違います。

仕事も同じです。その仕事の背景にある意味や価値を深く理解すればするほど、働きがいは高まるのです。

中小企業経営者が実践すべき5つのポイント

1. 定期的な学習の場を設ける

月一回でも良いので、仕事の意義や価値について学ぶ時間を作りましょう。

2. お客様の声を共有する仕組みを作る

感謝の手紙、クレーム対応の改善例など、お客様の反応を全社で共有しましょう。

3. 業界全体での自社の位置づけを伝える

業界動向や社会情勢と自社の関係を分かりやすく説明しましょう。

4. 社員の疑問に丁寧に答える

「なぜこの仕事が必要なのか?」という疑問にしっかり向き合いましょう。

5. 学習への投資を惜しまない

書籍代、研修費、見学費など、学習にかかる費用は必要経費として捉えましょう。

評価能力が生み出す好循環

社員の評価能力が向上すると、以下のような好循環が生まれます

① 仕事の価値を深く理解する ↓

② 働きがいと誇りが高まる ↓

③ 品質向上への意欲が湧く ↓

④ お客様満足度が向上する ↓

⑤ 会社の評価が高まる ↓

⑥ 社員の誇りがさらに高まる

この循環こそが、中小企業の持続的な成長の源泉なのです。

まとめ:学習する組織が生み出す働きがい

二宮先生の理論で明らかになったのは、働きがいは単に給与や労働条件だけで決まるものではないということです。

社員一人ひとりが自分の仕事の価値と意義を深く理解し、そこに誇りを感じられるかどうか。これが働きがいを左右する大きな要因なのです。

中小企業の経営者の皆さまには、ぜひ「学習する組織」づくりに取り組んでいただきたいと思います。

こんな質問を社員さんに投げかけてみてください

「あなたは、自分の仕事がどのような人の役に立っていると思いますか?」

「この会社の商品・サービスの一番の価値は何だと思いますか?」

「もしこの仕事がなくなったら、社会はどう困ると思いますか?」

そして、その答えを一緒に深く掘り下げていく。そんな対話の積み重ねが、社員の評価能力を高め、働きがいのある職場を作り上げていくのです。

次回は、これまで学んできた「生きがいの三つの源泉」を総合して、中小企業だからこそできる理想的な職場づくりについて考えてみたいと思います。

社員の皆さんが心から「この仕事に携われて良かった」と感じられる会社づくりのために、ぜひ次回もお読みください!

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