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第1回:「生き甲斐・働き甲斐」とは、何の“甲斐”でしょうか? | 中小企業未来塾

第1回:「生き甲斐・働き甲斐」とは、
何の“甲斐”でしょうか?

生き甲斐・働き甲斐

――あなたの会社で働く社員さんに、「あなたの働き甲斐って何ですか?」と聞いたら、どんな答えが返ってくるでしょうか?

もしかすると、「お給料をもらえることですね」「生活費を稼ぐ手段です」という声が多く返ってくるかもしれません。つまり、マネー=お金を中心にした回答です。確かに、暮らしを支えるための収入は働く理由の大きな一つですし、そこに疑問の余地はありません。

しかし、多くの方が心の奥では感じているのではないでしょうか。

「でも、それだけじゃないよな」と。

「この仕事にやりがいを感じる」「お客様の喜ぶ顔がうれしい」「後輩が育つのを見ると自分の意味を感じる」――そうした声のなかに、もう一つの大切な“甲斐”が見え隠れします。

この連載では、中小企業の経営者の皆さまが、社員の“生き甲斐”“働き甲斐”とは何かを改めて見つめ直すヒントをお届けします。単なるモチベーションアップ術や報酬制度の話ではありません。人間の内面にある「働くことの意味」や「人生における価値」を、どう社員教育に活かしていくかを掘り下げていきます。

私は以前、中小企業家同友会の勉強会で、ある一人の学者の話に心を打たれました。それが神戸大学名誉教授の二宮厚美先生です。先生は福祉国家論や人間発達の研究を専門にされています。私自身、先生の著作『生きがいの構造と人間発達』に出会い、感銘を受け、全国の勉強会を追いかけて学んだ時期があります。

「甲斐」という言葉の三つの意味

二宮先生は、「生きがい」「やりがい」「働きがい」に共通して含まれている“甲斐”という言葉に注目しました。辞書をひもとくと、「甲斐」には三つの使われ方があります。

値打ち・worth

たとえば「やりがいのある仕事だ」と言うとき、それは「その仕事に取り組む価値がある」「苦労するだけの見返りがある」という意味合いです。ここでの甲斐は、“worth”に近いです。

効果・effect

「努力のかいあって合格できた」――この言葉にあるように、甲斐は“結果が出た”“手ごたえがあった”という実感を伴います。この場合の甲斐は、“effect”、つまり効果や成果の意味に近づきます。

応答・反響・コミュニケーション

「あの人は頼みがいのある人だ」「話しがいのある相手だ」――この“がい”も甲斐です。誰かと関わったときに「ちゃんと応えてくれる」「響いてくれる」――つまり“やってみた手ごたえ”のある相手。ここには、人間関係のなかでの“生きがい”が含まれています。これは、まさに共感と反響=コミュニケーションの世界です。

つまり、「生きがい」「働きがい」とは?

こうして見ると、“甲斐”という言葉には、

  • 自分が「価値を感じること」
  • 自分の行動に「成果や手応えがあること」
  • まわりから「認められ、応答してもらえること」

という3つの次元が込められているのです。

給与のような金銭報酬は、たしかに「② 効果」のわかりやすい形かもしれません。でも、社員さんが本当に仕事を通じて“生きがい”を感じるのは、「① この会社で働くことに意味がある」と思えたときや、「③ 仲間やお客様からの反響を感じたとき」なのです。

中小企業にこそ必要な“甲斐”のある職場づくり

大企業と違い、中小企業は社員一人ひとりの役割が大きく、目の前の成果も周囲の反応もダイレクトに返ってきます。だからこそ、社員が“甲斐”を感じやすい土壌があるとも言えます。

「君がいなければ、この製品は納品できなかったよ」
「あなたのアイデアが、お客様にすごく好評だったよ」
「ありがとう。助かったよ」

こうした言葉が行き交う職場には、「②成果」「③共感」「①価値」の三拍子が揃っています。

これからの連載について

私は、かつて中小企業家同友会の学びの中で、全国各地の現場に足を運び、二宮先生の生きがい論を追体験しました。その経験をもとに、これから数回にわたって、

  • 社員が“働き甲斐”を感じる条件とは何か?
  • “やる気”が湧き出す組織のつくり方とは?
  • “生きがい”のある人生と仕事の関係とは?

といったテーマでお伝えしていきます。

次回は、二宮先生が説いた「生きがいの三つの源泉」について掘り下げていきたいと思います。そこには、“社員のやる気”を数字や管理だけでコントロールしようとする発想とは全く異なる、新しい視点があります。

ぜひ次回もお楽しみに!

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